廃校活用の成功事例5選:地域の拠点として生まれ変わる方法|官民連携による新しい地方再生モデル

全国で少子化・人口減少が進むなか、毎年500校以上の小中学校が廃校となっています。
一方で、これらの**「廃校を地域資源として再生」**する動きが全国各地で加速しています。

行政が遊休化した公共施設を民間や地域団体に活用させることで、
地域の観光拠点・産業拠点・交流拠点として再生する成功事例が増えています。

近年は総務省や文部科学省による支援制度も整備され、
**「廃校活用 × 官民連携(PPP/PFI)」**が地方創生の新たな柱になりつつあります。

本記事では、建設マネジメント(CM)の視点から、
廃校活用の代表的な成功事例5選と、その共通する成功要因を紹介します。

■ 1. 廃校活用の現状と注目される背景

● 増え続ける廃校と遊休公共施設

文部科学省の調査によると、2002年から2023年までに全国で約9,000校の公立小中学校が廃校となりました。
そのうち約3割は未活用のまま残っており、地域課題のひとつになっています。

● 官民連携による活用の拡大

近年は自治体単独での再生ではなく、
スモールコンセッション方式や指定管理制度を活用して、
民間企業やNPOと連携した事業が増加。
単なる施設再利用ではなく、**「地域の価値を再構築するプロジェクト」**として注目されています。

■ 2. 成功事例①:長野県 上田市「旧丸子町立西内小学校」

廃校をリノベーションし、**宿泊型体験施設「RITA戸倉上山田」**として再生。
地域の自然・食・文化を体験できる拠点として運営されています。

  • 運営:地域企業+観光NPOの官民共同体制

  • 活用内容:宿泊施設・カフェ・イベントスペース

  • 成果:年間来訪者数 約2.5倍、地域雇用10名創出

ポイント:
既存校舎の木造構造を活かしつつ、断熱・耐震補強を実施。
設計段階で「宿泊+地域交流」を明確に位置づけたことが成功要因となりました。

■ 3. 成功事例②:島根県 雲南市「旧掛合西小学校」

老朽化した廃校を、**起業支援と地域産業創出の拠点「イノベーションラボ雲南」**として再生。

  • 活用内容:コワーキングスペース・創業支援オフィス・シェアキッチン

  • 運営方式:スモールコンセッション(5年契約)

  • 成果:創業企業20社以上、地域外からの移住者増加

ポイント:
単なる建物再生ではなく、「地域課題の解決」をテーマとした事業構想により、
自治体の支援と民間活力が調和したモデルケースです。

■ 4. 成功事例③:兵庫県 淡路島「旧北淡中学校」

淡路島北部に位置する廃校を、**リゾート型ワーケーション施設「Frogs FARM」**として再活用。

  • 運営:民間企業(観光・宿泊事業者)主導

  • 活用内容:カフェ、宿泊、アート展示、アウトドアイベント

  • 成果:年間利用者数 約10万人、地域観光の新拠点に

ポイント:
「教育×観光×アート」を組み合わせた複合型施設として再構成。
デザイン性と地域資源の活用が高く評価され、観光庁のモデル事業にも採択されました。

 

■ 5. 成功事例④:北海道 下川町「旧一の橋小学校」

地域の林業とエネルギー事業を融合した**「地域エネルギーセンター」**として再生。

  • 活用内容:木質バイオマス発電・木材加工・地域学習施設

  • 成果:エネルギー自給率向上・CO₂排出量20%削減

ポイント:
地域産業の強みを建物再生と結びつけたことで、
「環境+産業+教育」を連携させた持続可能な廃校活用モデルとなっています。

■ 6. 成功事例⑤:大分県 由布市「旧庄内小学校」

廃校を利用し、**「庄内グローカルセンター」**として多目的施設に再生。
地域住民が利用できるホール・カフェ・学習スペース・シェアオフィスを整備。

  • 運営方式:官民協働(地域NPO+設計事務所+自治体)

  • 成果:利用登録者数1,200名、地域イベント年間60件以上開催

ポイント:
「住民主体の運営」を設計段階から組み込んだ点が特徴。
建設マネジメントの調整により、運営者・設計者・行政の合意形成を円滑に進めました。

 

■ 7. 成功事例に共通する3つのポイント

ポイント内容
① 目的の明確化「観光」「起業支援」「防災」「教育」など、活用テーマを初期段階で明確にする。
② 官民連携の構築スモールコンセッション・指定管理制度を活用し、行政と民間の役割を整理する。
③ 設計段階からのマネジメント施設構造・法規対応・改修コストを総合的にコントロールし、長期運営を見据える。

建設マネジメント会社が早期に関与することで、
「施設改修+事業構想+運営設計」を一体的に整理できる点は大きな強みです。

観点廃校活用の成果成功の鍵
経済観光・雇用・創業促進地域資源を活かした事業設計
社会交流・学習・地域再生官民連携・住民参加
建築断熱・耐震・デザイン改修設計・施工・運営の一体管理

廃校活用は、単なる建物再利用ではなく、
地域に新しい価値を創出するまちづくりの一形態です。

今後は、DBO方式・スモールコンセッションなどの官民連携手法と組み合わせることで、
「小規模でも持続可能な地域再生モデル」としてさらなる発展が期待されます。

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