事業用建物の相続税対策|自社ビルと賃貸ビルのどちらが有利か?専門家が徹底解説

事業承継や相続を見据えた不動産戦略は、中小企業オーナーにとって避けて通れない重要テーマです。

特に、
「自社ビルを建てるべきか?」
「賃貸用ビルとして保有するべきか?」

によって、将来の相続税負担は大きく変わります。

本記事では、建設マネジメント(CM)の専門家視点から、建物種別による相続税評価の違い、節税効果、建築計画で押さえるべき実務ポイントを詳しく解説します。

1. 事業用建物は「相続税評価」に大きく差が出る

不動産の相続税評価は、建物の種類・利用形態・賃貸状況によって大きく異なります。

◉自社ビル

→ 企業が自己使用する建物。
→ 固定資産税評価額が相続税評価の基準。

◉賃貸ビル

→ 入居者に貸し出す収益不動産。
→ “貸家建付地”として評価減が適用され、相続税が大きく軽減される。

結果として、同じ土地・同じ建物でも、利用形態だけで相続税額が大きく変わるというのが、事業用建物の大きな特徴です。

2. 自社ビル vs 賃貸ビル|相続税評価の違い

● 自社ビル(自己利用型)の場合

相続税評価は以下が基本。

  • 土地:路線価 × 面積

  • 建物:固定資産税評価額

つまり、相続税評価額がほぼ“100%”反映されるのがデメリット。

ただし、自用地としての活用実態が確立しているため、事業継続性の観点では有利です。

● 賃貸ビル(収益不動産)の場合

賃貸物件には以下の評価減が適用。

① 建物の評価減

賃貸割合に応じて評価額が約20〜30%減少。

② 貸家建付地(かしやたてつけち)の評価減

土地の相続税評価額が 約15〜20%減額
(賃貸割合 × 借家権割合 × 80% の評価減)

③ 小規模宅地等の特例(事業用)適用可能な場合あり

事業用割合に応じて土地評価を最大80%減額できるケースも。

結果として、賃貸ビルは自社ビルに比べて相続税評価が大幅に下がるため、資産承継の観点では圧倒的に有利です。

3. 建設計画の段階で分かれる“節税効果の差”

建物の設計方針が、
そのまま相続税評価額に直結するケースは少なくありません。

● 自社ビルが向いているケース
  • 自社の事業拡大に必須の立地

  • 長期保有前提

  • 相続より事業継続が優先

  • オフィススペースの特殊仕様が必要

事業の安定性重視。

● 賃貸ビルが向いているケース
  • 将来売却や相続を見据えた資産形成

  • 収益不動産としての安定運用

  • 立地が商業性・オフィス需要に強い

  • 築後も市場性の高いビルにしたい

節税 × 収益性 × 流動性のバランス重視。

4. 建築計画における“税務を意識した”設計戦略

相続税対策は税理士だけの領域ではありません。
建物の仕様・用途・テナント構成が、税務評価に大きく影響します。

① フロア分割が可能な設計

テナント誘致しやすく、賃貸収入が安定するため、「収益不動産としての価値」が高まる。

② OAフロア・二重天井で汎用性を確保

テナントの入れ替えが容易になり、空室リスクを最小化。

③ 商業地域・近隣商業地域での建設

用途制限が緩く、将来的なホテル・店舗・オフィスなどへの用途変更も視野に入る。

④ 設備更新を前提とした長寿命化設計

賃貸ビルとして長期間価値を維持できる。

⑤ 賃貸事業を見据えた登記戦略

区分所有化できる設計にすることで、将来的に「分割売却」も可能。

5. 相続税対策として有効な“建物構造”の選択肢

● RC造・S造(中高層ビル)

→ 長寿命で評価減の効果が高い
→ 収益不動産として市場性が高い

● 木造(小規模賃貸物件)

→ 投資額が小さく節税効果も享受
→ 立地次第ではサ高住・クリニック併設などの活用も可能

建物構造の違いも、減価償却費・資産評価額に影響するため、初期段階から戦略的に選択する必要があります。

6. “相続税対策 × 建物の価値維持”を両立するために必要なこと

事業用建物の相続対策は、以下の4つを同時に検討することが重要です。

1. 税務:相続税評価を抑える

(貸家建付地・小規模宅地・建物評価減)

2. 収益:賃貸運用で安定収益を確保

(テナントミックス・空室リスク管理)

3. 設計:汎用性の高い建物仕様にする

(フレキシブルなフロア構成)

4. 資産性:将来の売却・用途変更に対応

(市場性の高い用途地域で計画)

建築計画の序盤からこれらを整理することで、「相続に強いビル」×「収益性の高い資産」を両立できるようになります。 

事業用建物の相続対策は“建て方で差が出る”

  • 自社ビル:事業継続は有利だが相続税評価が高い

  • 賃貸ビル:評価減が大きく、節税効果が高い

  • 設計段階での用途・動線計画・設備仕様が後の相続税に影響

  • 区分登記・フロア分割・汎用性設計で事業性と節税を両立

建物を「使う場所」としてだけでなく“資産としてどう残すか”を考えることが、企業オーナーにとって最も重要な相続戦略となります。

当社では、建築計画・収益性分析・相続税対策を一体で検討できるCM方式のサポートを提供しています。事業用建物の建設や相続対策をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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