オフィス移転を機に自社ビル建設を検討する企業が注意すべきこと|コスト・立地・将来性の3視点で解説

コロナ禍以降、テレワークやハイブリッド勤務の普及により、多くの企業が「オフィスの在り方」を見直しています。賃貸オフィスの契約更新を前に、「どうせ移転するなら自社ビルを建てた方が良いのでは?」と考える企業も増えています。

しかし、賃貸と建設では求められる検討項目がまったく異なります。
設備・立地だけでなく、法規制・コスト・将来の経営戦略まで見据えて判断することが重要です。

この記事では、オフィス移転を機に自社ビル建設を検討する企業が必ず確認しておくべき3つの視点(立地・コスト・将来性)を解説します。

1. 立地選定で注意すべきポイント

① 交通アクセスと社員動線

オフィスの価値は「立地」で決まるといっても過言ではありません。
通勤利便性の高い駅徒歩圏(徒歩5〜10分以内)は、社員満足度・採用力の面でも大きなメリットです。

  • 駅距離、主要沿線からのアクセス

  • 周辺に飲食店・コンビニ・銀行などがあるか

  • 配送・来客・駐車スペースの確保

👉 特に、営業部門や顧客対応の多い業種では「アクセス性=企業の信頼感」にも直結します。

② 用途地域と建築制限

土地を購入して建設する場合、用途地域によって建てられる規模・用途が制限されます。

  • 住宅専用地域 → 原則オフィス建設不可

  • 商業地域・準工業地域 → 自社ビル建設に適したエリア

また、建ぺい率・容積率の確認を怠ると、「思っていた規模で建てられない」というケースもあります。
設計前に自治体・建築士と用途確認を行いましょう。

2. コスト・資金計画での注意点

① 建設費用の総額を正確に把握

自社ビル建設には、建設費だけでなく土地取得・設計・申請・インフラ整備費が必要です。
目安としては:

項目費用目安(例)
土地取得費総予算の30〜40%
建設工事費坪単価100〜150万円程度(構造・仕様による)
設計・監理費建設費の5〜10%
その他(登記・外構・家具等)数百万円〜

👉 見積もりを複数社で比較し、「総事業費」で判断することが大切です。

② 賃貸との費用比較

月額賃料を払い続けるよりも、長期的には自社ビルの方がコストメリットが出る場合があります。
ただし、建設初期費用と減価償却・固定資産税を考慮した上で、「何年で投資回収できるか」を試算しておく必要があります。

③ 補助金・税制優遇の活用

近年は中小企業の設備投資を支援する制度が整っています。

  • 即時償却・特別償却制度(中小企業経営強化税制)

  • 省エネ型建物への補助金(ZEB化補助)

  • 地方自治体による企業立地促進助成金

これらを活用することで、実質的な負担を10〜20%削減できるケースもあります。

3. 将来性を見据えた設計・運営の考え方

① フレキシブルなレイアウト設計

テレワークや事業拡大に対応できるよう、間仕切りや空調ゾーンを柔軟に変更できるモジュール設計を採用するのがおすすめです。
将来的にテナント貸しや事業転用を見据える場合は、分割利用可能な設計も検討しましょう。

② 省エネ・ZEB対応の導入

新築オフィスは、ZEB Ready(ゼブ・レディ)基準に対応させることで、光熱費削減・環境配慮・企業ブランディングの面で優位に立てます。
政府の補助金対象にもなりやすいため、初期段階で設計士に相談しておくと良いでしょう。

③ 維持管理コストを見込んだ長期計画

建物を所有すると、修繕費・保守点検・固定資産税が発生します。
20年先を見据えて修繕積立計画を立てることで、突発的な出費を防ぎ、安定経営を維持できます。

オフィス移転から自社ビル建設への意思決定フロー

オフィス移転を「きっかけ」として建設を検討する場合、いきなり土地探しや設計に入るのではなく、段階的に判断することが重要です。
下記は、一般的な企業が建設を決断するまでの流れを整理したものです。

フェーズ時期目安主な検討内容チェックポイント
① 現オフィスの契約見直し契約満了の12〜18か月前家賃・立地・スペースの課題を整理更新か移転かの判断軸を設定
② 移転先の選定・比較12か月前賃貸 vs 建設の費用・柔軟性を比較総コストと将来拡張性の見極め
③ 自社ビル建設の可能性調査10〜12か月前土地候補・用途地域・法規確認建設可能な規模と立地条件を把握
④ 設計・資金計画の策定6〜9か月前概算見積・金融機関との調整建設費+運営コストの総予算確定
⑤ 着工・施工管理3〜6か月前建築確認申請・工事スケジュール管理工期・品質・安全の管理体制確認
⑥ 竣工・移転準備1〜3か月前内装・インフラ整備・引越計画開業後の維持管理体制の確立

👉 ポイントは、「移転検討=建設検討のスタートライン」 と捉えること。
契約更新の1年前から動き出すことで、土地選定・設計・融資審査・工事をスムーズに進めることができます。

オフィス移転を機に自社ビル建設を検討する際は、立地・コスト・将来性の3つを軸に、早い段階から全体像を整理することが重要です。

  • 用途地域・建築制限を事前確認

  • 総事業費を明確化し、賃貸との比較検討

  • 将来的な働き方・設備更新に対応できる柔軟設計

  • ZEB・補助金・税制優遇も積極的に活用

👉 建設は「移転の延長」ではなく「経営戦略の一環」。
中長期的な視点で計画を立てることで、企業価値を高めるオフィスづくりが実現できます。

 

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