ビルの寿命は何年?耐用年数を過ぎたビルの活用法も解説|建設マネジメント会社の視点から

日本各地で、老朽化した中小規模のビルが増加しています。
とくに1990年代以前に建設されたオフィスビルや商業施設は、法定耐用年数を超えた物件も多く、建替え・改修・用途転用などの判断を迫られる場面が増えてきました。
では、実際に「ビルの寿命」とは何年なのか?
そして、耐用年数を過ぎたビルをどう活かせば良いのか?
本記事では、建設マネジメント(CM)会社の視点から、法的・構造的な寿命と、資産価値を高める再活用法についてわかりやすく解説します。
✅ ビルの「寿命」とは?法定耐用年数と実際の使用年数
◾ 法定耐用年数(税務上)
構造 | 法定耐用年数(例) |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(軽量) | 19〜34年(肉厚による) |
鉄骨造(重量) | 34年 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 |
これはあくまで減価償却上の年数であり、建物の安全性や使用可能年数を示すものではありません。
◾ 実際の物理的寿命は?
RC造やSRC造のビルであれば、メンテナンスを適切に行えば60〜80年、場合によっては100年使われることもあります。
ただし、以下の要因で寿命が大きく左右されます:
劣化した外壁や防水の未修繕
配管や設備機器の老朽化
耐震基準(1981年改正以前の「旧耐震」)を満たしていない
テナントニーズに対応できないレイアウト・仕様
つまり、建物そのものの強度よりも「使える建物かどうか」が寿命を左右するのです。
✅ 耐用年数を過ぎたビルの主な課題
🔸 空室率の上昇(テナント離れ)
🔸 修繕・維持コストの増加
🔸 保険加入や融資審査での不利
🔸 建替えには莫大な解体費と長期収入停止リスク
このような背景から、「建て替え以外の選択肢=再活用」に注目が集まっています。
✅ 古いビルの活用方法 3選
1. 【ホテル・宿泊施設への転用】
オフィス→ホテル/テナントビル→簡易宿所 など
旅館業法・用途変更申請・消防法対応が必要
設備の刷新や間取り変更で「新築同等の収益性」も可能
2. 【シェアオフィスやコワーキングスペースへのリノベーション】
元のレイアウトを活かしつつ、水回りや空調のみを更新
法令対応のハードルが比較的低く、短工期で収益化可能
賃貸型オフィスより運用柔軟性が高く、低予算でも対応可能
3. 【CRE戦略としての「建物更新+用途再編」】
自社保有ビルを部分解体・増改築して、収益性を最大化
低層階をテナント、上層階を自社利用といったハイブリッド型利用
節税・資産価値評価の観点でも効果大
ビルの寿命は「使い方次第」で延ばせる
築年数が古くても、構造がしっかりしていれば再活用によって新たな収益資産に生まれ変わることは十分可能です。
むしろ、時代のニーズに合った機能や用途へ転用することで、新築以上の価値を生むこともあります。
私たちは、建築主の立場で再活用の可能性を整理・判断・実行までサポートする建設マネジメント会社です。
「建て替えるべきか、活かすべきか」でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。