中低層ビル(3〜6階)の建築費用|坪単価の相場と用途別コストの考え方
都市部や郊外において、3〜6階建ての中低層ビルは自社オフィス、テナントビル、医療モール、賃貸併用住宅など幅広い用途で建設されています。
しかし、実際に計画を立てる際には、
坪単価の目安はいくらか?
鉄骨造(S造)と鉄筋コンクリート造(RC造)でどのくらい差があるのか?
延床面積や仕様によって総建設費はどう変わるのか?
といった疑問を持つ担当者の方も多いはずです。
この記事では、中低層ビル建設における坪単価の相場と費用内訳を整理し、さらにコストに影響する要因や計画初期に押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
1. 中低層ビルの建築費(坪単価)の目安
| 構造 | 坪単価の目安(税別) | 特徴 |
|---|---|---|
| 鉄骨造(S造) | 約90〜110万円/坪 | 最も一般的。中規模オフィスやテナントビルに適する |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約100〜130万円/坪 | 耐火・遮音性に優れ、共同住宅や医療施設向け |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 約120〜140万円/坪 | 官公庁や特殊施設向け。コストは高い |
👉 延床面積300坪(約1,000㎡)の場合、建築本体工事費は約2.7〜3.9億円程度が目安となります。
2. 総建設費の構成と見積もりイメージ
建築費は「本体工事費」だけでなく、外構や設計費、諸経費まで含めて総合的に見積もる必要があります。
| 項目 | 割合 | 内容 |
|---|---|---|
| 建築本体工事費 | 約60〜70% | 躯体・内外装・主要設備(電気・空調・衛生) |
| 設計・監理費 | 約5〜8% | 設計図作成、確認申請、監理業務 |
| 共通仮設・現場経費 | 約5〜10% | 仮設フェンス、安全管理、清掃など |
| 外構工事 | 約3〜5% | 駐車場、植栽、舗装、外部照明 |
| 諸経費 | 約5〜10% | 地盤調査、登記、近隣対策、保険 |
| 消費税 | 10% | 工事請負契約に基づく消費税 |
▶ 例:延床1,000㎡ × 坪単価100万円の場合
建築本体:約3億円
総建設費:約3.5〜4.2億円
3. コストに影響する5つの主な要因
構造形式(S造 or RC造)
RC造は耐火・遮音性に優れるが、工期・コストともに上昇。用途地域・防火地域の制限
防火地域では耐火建築物が必須となり、RC造採用が増える傾向。地盤条件と基礎形式
軟弱地盤では杭工事が必要で、数千万円単位のコスト増加要因。エレベーターの仕様と台数
1基あたり1,000万〜1,500万円。階数や用途によっては複数台が必要。空調・照明設備のスペック
テナントビルでは「スケルトン渡し」にすることで初期コストを抑えられる。
4. 中低層ビルの特徴と活用モデル
3〜4階建て × 鉄骨造 × 郊外立地
自社オフィス+一部賃貸の小規模テナントビル向け。5〜6階建て × RC造 × 都市部立地
医療モール、SOHO、サテライトオフィスなどに最適。1階店舗+上階事務所または住宅
固定資産を複合的に活用できるモデルで需要が拡大中。
5. 初期段階で押さえるべきチェックポイント
計画敷地の 建ぺい率・容積率・用途地域 の確認
地盤調査(簡易ボーリング) を実施して地耐力を把握
将来の 用途変更やテナント入替 に対応できるフレキシブル設計
ZEB Orientedや省エネ設計 による補助金活用の検討
中低層ビル建設は「構造選定と規模」が予算のカギ
中低層ビル(3〜6階)は、コストと事業性のバランスが取りやすく、中小企業や不動産オーナーにとって現実的かつ魅力的な選択肢です。
計画成功のためには、
構造形式と階数の整理
地盤条件と法的制限の確認
総建設費の全体像を把握
将来の活用プランと予算をリンク
これらを初期段階から検討することが不可欠です。
坪単価だけで判断せず、全体コストを見通してリスクを減らす計画を立てることが、後悔しないビル建設の第一歩となります。


