医院・クリニック・診療所の違いは?

開業前に知っておきたい基礎知識と建築上の注意点

開業を考える医師の方々にとって、「医院」「クリニック」「診療所」という言葉の違いに戸惑うことは少なくありません。特に、医療施設の名称をどうするかは、患者への印象にも影響を与えるため慎重な検討が必要です。

この記事では、それぞれの呼び名の違いを明確にし、さらに建築計画を進めるうえでの法的分類と建築上の注意点について、CM(コンストラクション・マネジメント)会社の視点から解説します。

1. 医院・クリニック・診療所は法律上すべて同じ?

結論から言うと、「医院」「クリニック」「診療所」には法律上の明確な区別はありません。
これらはすべて、医療法における**「診療所」**に該当し、下記の定義が適用されます。

✅ 診療所の定義(医療法 第1条の5)
  • 病床数が0~19床以下の医療施設

  • 医師または歯科医師が主宰する

2. 呼称の違いと使い分け(実務上の違い)

呼称実務上の傾向よく見られる診療科
医院(いいん)昔ながらの名称。地域密着・個人経営の印象内科、小児科、外科など
クリニック都市型・スタイリッシュな印象。若い医師に人気美容皮膚科、心療内科、整形外科など
診療所書類・行政手続き上で使われる正式名称全般(上記と共通)

「◯◯内科医院」「◯◯メンタルクリニック」「◯◯診療所」など、名称はブランディングや地域性に応じて自由に選べます

3. 建築基準法上の扱いは?(CM会社の視点)

呼称にかかわらず、建物用途としての分類や建築確認の取り扱いは「診療所」として共通です。

✅ 無床診療所(病床なし)の場合:
  • 通常は**「事務所用途」+「診療所用途」**で対応可能

  • 避難経路や防火区画の要件は比較的軽微

✅ 有床診療所(19床以下)の場合:
  • **「特殊建築物」**として建築確認が必要

  • スプリンクラー、非常用照明など消防設備の強化が必須

  • バリアフリー設計(スロープ、車椅子対応トイレ等)

4. 設計・開業時に注意すべきポイント

🔸 医療機器導入との整合性
  • レントゲン室、処置室、診察室の配置や遮蔽設計

  • 床荷重や電気容量の検討(CT・MRIがある場合)

🔸 行政手続きでの名称記載
  • 保健所の開設届では**「診療所」名義**が基本

  • 看板やWEBサイトでは自由に「医院」「クリニック」表記可

🔸 ブランディングとしての名称選び
  • 都市部では「クリニック」の方が柔らかく洗練された印象

  • 地方・高齢者層には「医院」が親しみやすい傾向も

名前より大切なのは“設計と法対応”

「医院」「クリニック」「診療所」——名前は自由に決められますが、
設計・用途・法的な分類はすべて「診療所」に準拠します。

特に有床の場合や、テナントビルでの開業を検討している場合は、
建築確認や消防法への対応が開業スケジュールに影響するため、
早い段階で建築・法対応のプロと連携することが重要です。

「開業にあたり、設計や行政手続きに不安がある」
「どのような建物要件があるのか知りたい」

そんなときは、医療施設に特化した建築CM会社である私たちにぜひご相談ください。

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