2025年最新版|商業施設建設の坪単価相場と費用内訳を徹底解説
費用の全体像を掴んで、無駄のない計画を
商業施設(テナントビル、ロードサイド店舗、複合ビルなど)を建設する際、最も気になるのが**「坪単価の相場」です。加えて、費用の内訳(どこにいくら掛かるか)を把握しておくと、資金計画と見積比較の精度が大きく向上します。
本記事では、2025年時点の商業施設建設における坪単価相場と費用構成の内訳をわかりやすく解説。最後にコストが上がる要因と抑える工夫、見落としがちな費用、試算の考え方**まで整理します。
1. 商業施設建設の坪単価相場(2025年時点)
商業施設の建築費用は、規模・構造・仕様・立地によって異なります。以下は一般的な目安です。
| 構造・規模 | 坪単価の目安(税込) |
|---|---|
| 鉄骨造(S造)・平屋(ロードサイド型) | 約70〜110万円/坪 |
| 鉄骨造(S造)・2〜3階建 | 約90〜130万円/坪 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造)・複合商業ビル | 約120〜160万円/坪 |
※1坪=3.3㎡
※東京都心・駅前立地や高度仕様(高性能外装・特殊設備)の場合は、180万円/坪超となるケースもあります。
簡易試算例
延床600㎡(約182坪)の2〜3階建S造・標準仕様・郊外:
→ 坪単価110万円 × 182坪 ≒ 約2.0億円(本体目安)
2. 商業施設建設の費用内訳(構成比)
建築費用は「建物本体」だけではありません。設備・外構・設計監理・申請・予備費まで含めた総事業費で管理するのが鉄則です。
| 費用項目 | 構成比率(目安) | 内容例 |
|---|---|---|
| 建築本体工事費 | 60〜70% | 躯体・外装・屋根・共用部内装 |
| 設備工事費 | 15〜20% | 空調・電気・給排水・照明・防災 |
| 外構・インフラ工事費 | 5〜10% | 駐車場・舗装・植栽・上下水引込 |
| 設計・監理・申請費 | 5〜8% | 基本/実施設計・確認申請・監理 |
| 予備費・諸経費 | 2〜5% | 物価/設計変更対応・施主手配分 等 |
総事業費の目安
「延床600㎡(約182坪)× 坪単価110万円 = 本体約2.0億円」のケースでも、上記の付帯費を加味すると総事業費は約2.3〜2.6億円になるイメージです。
3. テナント工事は含まれる?含まれない?
商業施設では、テナント内装費の取扱いが計画に大きく影響します。
スケルトン渡し(躯体・主要設備まで)
→ 内装工事はテナント負担が基本。初期コストを圧縮しやすい。居抜き型(内装込み)
→ 什器・家具・設備(FF&E)を施主負担とするケースあり。募集は有利だが初期費増。モール型施設
→ 共用部(廊下・トイレ)と専有部の仕上げ・設備を分けて費用管理。後の入替に強い設計が有効。
4. 坪単価が上がる要因と、賢い抑え方
上がる要因(よくあるパターン)
都市中心部・駅前など制約の多い立地(搬入・仮設・夜間制限)
特注材・複雑ディテール中心のデザイン
高機能設備(大容量空調・特殊排気・特殊電源 等)
複数階構造でのEV/エスカレーター増設
抑える工夫(計画段階で効く施策)
矩形(シンプルな構造)× 柱スパン整列で資材・施工効率を最適化
規格品の建材・設備を標準採用(納まりとメンテが安定)
テナント負担範囲を明確化(スケルトン渡しの原則)
地盤・基礎条件を早期調査(過剰改良・設計手戻りを回避)
設計段階で**VE(バリューエンジニアリング)**案を用意し、入札時に比較可能化
5. 資金計画で見落としやすい「その他費用」
見積取得ののちに膨らみやすい項目です。初期から総事業費に計上しておきましょう。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 解体・造成費 | 既存建物の解体、整地、擁壁補強 等 |
| インフラ負担金 | 水道加入金、電力引込・増設負担金 |
| 開業準備費 | 看板、什器・備品、ICT/セキュリティ、広告 |
| 金融コスト | 借入利息、各種手数料、保証料 |
| 税金関係 | 不動産取得税、登録免許税、固定資産税の試算 |
ワンポイント:**予備費3〜5%**を初期から確保。物価・仕様変更・テナント要望対応のバッファになります。
6. 失敗しないための進め方(チェックリスト)
用途・テナント構成を定義(面積・負担範囲・契約条件)
法規(用途地域/容積率/駐車台数/消防)を初期チェック
地盤調査を前倒し実施し、基礎方式の当たりを付ける
設計の凍結ポイントを設定(後戻りを予防)
相見積の条件統一(仕様書・仕上げ表・数量表の整合)
LCC(運用費)も含めた総額評価で判断(照明・空調・保守)
坪単価だけで判断せず、費用の“全体像”で最適化を
坪単価相場は、S造(平屋)70〜110万/坪、S造(2〜3階)90〜130万/坪、RC造120〜160万/坪が目安。
実務では、設備・外構・設計監理・申請・予備費を含めた総事業費でコントロール。
コスト上振れは立地制約・過剰仕様・後戻りが主因。設計初期の判断とVE/仕様標準化で抑制を。
結論:坪単価“だけ”で安い/高いを決めないでください。内訳を分解し、総事業費とLCCで意思決定することが、無駄のない計画と確実な投資回収への最短ルートです。


