有床診療所の建設スケジュールと失敗しない進め方
開業医のための建築確認・消防対応ガイド
有床診療所(ゆうしょうしんりょうじょ)は、病床を有しながら地域医療の最前線を担う重要な医療施設です。しかし、一般的なクリニックと比べて建築や申請のハードルが高く、開業医にとっては不安や負担の多いプロジェクトでもあります。
本記事では、有床診療所を新築または改修により開業する際のスケジュールや、建築確認・消防対応を中心とした失敗しない進め方を、コンストラクション・マネジメント(CM)会社の視点から詳しく解説します。
有床診療所建設の基本スケジュール
📅 1. 計画準備(0〜3ヶ月)
医療圏・診療科の調査、事業計画の立案
土地の確保またはテナント選定
資金調達・銀行との協議
ポイント:この段階で「有床」であることを前提に計画することが重要です。後から病床を追加する場合、構造や設備の再設計が必要になることがあります。
📅 2. 設計・行政調整(3〜6ヶ月)
建築設計事務所との打合せ開始
診療報酬・医療法に準じた配置計画
建築確認申請、消防協議、医療法23条届出の準備
当社が対応する範囲(建築確認・消防)では以下が重要:
✅ 建築確認
有床施設の規模により「特殊建築物」として取り扱われる場合あり
病床数や患者動線に応じた避難経路の設計が求められる
✅ 消防対応
自動火災報知設備、非常用照明、避難誘導標識の設置が義務
事前の消防署との協議がスムーズな進行の鍵
📅 3. 工事着工〜竣工(6〜10ヶ月)
地鎮祭・着工
躯体工事→内装→設備(医療ガス・給排水など)
消防完了検査、建築完了検査
注意点:
LINAC(放射線治療)や手術室がある場合は、遮蔽設計や放射線届出が追加される
設備の納期遅延や資材高騰のリスクに備え、スケジュールに余裕を持つことが必要
📅 4. 届出・開設準備(10〜12ヶ月)
保健所への開設届(医療法)
消防検査済証・建築検査済証の取得
人材採用・医療機器搬入・内覧会など
よくある失敗とその対策
❌「設計を進めた後に用途地域でNGだった」
→ 対策:都市計画法・用途地域の事前確認をCM会社または設計者に依頼
❌「消防対応が工事後に発覚し、追加費用が発生」
→ 対策:初期設計段階で消防署との協議を並行実施
❌「検査済証のないビルでテナント契約してしまった」
→ 対策:検査済証の有無、用途変更の可否を契約前に建築士またはCM会社に確認
有床診療所建設は“段取り”と“調整”がカギ
有床診療所の建設は、一般的な無床クリニックよりも高い専門性と複雑な法規制対応が求められます。だからこそ、計画初期段階から建築・消防に精通した専門パートナーを持つことが、成功への近道となります。
私たちCM会社は、建築確認と消防対応に特化し、医療施設の建設を安全・確実にサポートしています。土地探しから開設届出まで、一貫したご相談も可能です。


