有床診療所の開業ステップ|設計・建設から届出まで

近年、地域包括ケアや高齢化の影響により、「19床以下の有床診療所」のニーズが高まっています。入院機能を備えつつも、病院より小規模で柔軟な運営が可能な点が注目されています。
本記事では、有床診療所を開業する際の基本的なステップを、建築確認・消防対応を担うCM(コンストラクション・マネジメント)会社の視点から解説いたします。
1. 有床診療所の基本要件とは?
「有床診療所」とは、入院用ベッドを19床以下設置した診療施設を指します。病院とは異なり、医療法上では診療所扱いとなり、開設手続きや基準も異なります。
主な特徴:
病床数:19床以下
診療科目:内科、外科、整形外科など自由に設定可能
必要設備:入院病床、処置室、スタッフステーション、非常用電源など
2. 開業までの全体フロー
有床診療所をゼロから立ち上げるには、以下のような流れが一般的です:
事業計画の策定
物件選定・敷地調査
設計(基本設計・実施設計)
建築確認申請と消防署への届出
着工・施工管理
医療機器導入・保健所申請
開設許可・内覧会・開業
この中で、私たちCM会社は特に、**「3.設計段階から4.建築確認・消防対応」**に注力しています。
3. 建築確認・消防対応における注意点
有床診療所は「入院機能を持つ建築物」であるため、建築基準法上は**「特殊建築物」**に分類されます。
そのため、以下のような厳しい基準をクリアする必要があります。
建築確認のポイント:
避難経路の確保:各病室からの避難経路が法的要件を満たすこと
バリアフリー設計:患者・高齢者・車椅子対応の廊下・トイレ等の確保
採光・換気・天井高の基準を満たすこと
消防法上の注意点:
自動火災報知設備の設置義務
非常用照明・誘導灯の設置
スプリンクラー設備の要否確認(延べ面積や病床数による)
これらは設計と密接に関係するため、初期段階から建築確認と消防要件を同時に検討することが、後戻りやコスト増加を防ぐ鍵となります。
4. 医療機器・内装との連携(私たちの対応範囲)
CTやMRIなどの医療機器を導入する場合、床の荷重や天井高、配線ダクトなどに配慮した設計が必要です。
ただし、当社では医療機器そのものの選定や調達・導入スケジュールの調整までは対応しておりません。
弊社の対応範囲は以下の通りです:
✅ 建築確認申請のサポート
✅ 消防署との協議・必要図面の整備
✅ 設計者・施工者との技術連携
5. CM会社に相談するメリットとは?
建築確認や消防署対応は、行政とのやり取りが多く、専門知識が求められる領域です。
医療系建築に不慣れな設計事務所やゼネコンに任せきりにすると、後から手戻りが発生し、開業スケジュールやコストに影響することがあります。
弊社のような医療施設に特化したCM会社に相談することで、こうしたリスクを最小限に抑え、安心して開業準備を進めることが可能です。
有床診療所の開業には、医療・建築・行政の知識が複雑に絡み合います。
特に建築確認と消防対応は、設計初期からの専門的なサポートが不可欠です。
設計前の段階からご相談いただければ、無駄のないスムーズな開業準備を実現できます。
診療所や医療モールの開業をご検討中の方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。