検査済証のないテナント物件で診療所開業できる?

既存ビルでの開業を成功させるために必要な確認ポイント
都市部や駅前などで診療所を開業する際、テナントビルの空き区画を活用するケースが増えています。
しかし、その建物に「検査済証(けんさずみしょう)」がない場合、建築確認申請や保健所手続きに支障が出るリスクがあります。
今回は、**検査済証がない物件でも開業できるのか?**について、建築CM会社の視点から実務ベースでわかりやすく解説します。
1. 検査済証とは?
検査済証とは、建築確認を受けた建物について「設計通りに完成した」ことを行政または指定検査機関が確認し、建築基準法上、正式に適合していると認められた証明書です。
✅ なぜ重要?
新たな**用途変更(例:店舗→診療所)**を伴う場合、建築確認申請が必要
その際、既存建物が「検査済証あり」であることが、手続きの前提条件になる自治体が多い
2. 検査済証がない物件の現実
築30年以上の雑居ビルなどでは、当時の法制度上「完了検査」を受けていない、つまり検査済証が存在しないケースが珍しくありません。
この場合、診療所として開業できるかどうかは、建物の条件・工事内容・自治体対応によって異なります。
3. 開業可否を分けるポイント
判断基準 | 内容 |
---|---|
用途変更の有無 | テナントの用途が「診療所」に変わるかどうか。変更にあたると建築確認が必要。 |
既存用途との整合 | もともと診療所や事務所だった場合は変更不要なケースも |
増築・構造変更の有無 | 壁を壊す/構造に影響を与える工事はNG。軽微な内装のみなら対応可能な場合あり |
消防法適合 | 消防検査や防火設備の整備が不十分なビルは開業不可となる可能性あり |
4. 建築CM会社としての対応実例
私たちのようなCM会社では、検査済証のない物件について、以下のような調整や対応を行います:
✅ 建築士との現地調査
建物の構造、避難経路、設備の現況を調査
建築確認が必要な改修かどうかを判断
✅ 行政(建築指導課・保健所)との事前協議
用途変更を必要としない設計で進められるか確認
消防署との調整も含めて**「相談ベースで進める」ことがカギ**
✅ 書類整備サポート
検査済証がない代わりに必要な建物調書・図面整備を支援
開設届提出用の寸法入り平面図・建物概要書の作成代行
5. よくある質問(FAQ)
Q1:検査済証がなくても絶対に開業できないの?
→ いいえ、ケースバイケースです。
軽微な内装であれば、建築確認を要せずに進められることも多く、早い段階での専門家との相談が重要です。
Q2:テナントオーナーも協力が必要?
→ はい。建物の図面や当時の確認済証の写し、構造説明資料などの情報提供が不可欠です。
「検査済証なし」でも諦めず、まずは確認を
検査済証のないビルだからといって、必ずしも開業できないわけではありません。
大切なのは、設計・法対応・消防適合を一つずつ整理し、自治体と調整を進めることです。
開業候補物件でお悩みの場合は、建築CM会社にご相談ください。
設計者・施工会社・行政との橋渡し役として、最適な進め方をご提案いたします。