診療科別の開業立地の選び方

患者に選ばれるクリニックをつくるために
クリニックや診療所の開業を成功させる上で、立地選びは設計以上に重要な要素です。
特に診療科目によって「適した場所」は大きく異なり、患者層・競合状況・建築対応の難易度も変わってきます。
この記事では、内科・整形外科・精神科・皮膚科・耳鼻科などの主要診療科別に、開業に適した立地条件と建築上の注意点を、CM(コンストラクション・マネジメント)会社の視点も交えて解説します。
1. 内科|地域密着 × 生活動線の中に
🏥 適した立地
駅前やバス通り沿い
郊外住宅地のスーパー近く
調剤薬局との併設モール内
👥 想定患者層
高齢者・慢性疾患を抱える方
近隣住民・ファミリー層
🔧 建築面の注意点(CM視点)
駐車場台数の確保(高齢者対応)
バリアフリー設計(入口スロープ、車椅子トイレ)
開放的な待合スペース+点滴室は半個室設計が◎
2. 整形外科|駐車場と1階立地が最重要
🏥 適した立地
郊外型ショッピングセンター内
駐車場完備のロードサイド
高齢者人口が多い団地周辺
👥 想定患者層
高齢者・リハビリ目的の患者
スポーツ障害の若年層
🔧 建築面の注意点(CM視点)
X線設備の導入(遮蔽・床荷重)
リハビリスペースの広さと導線確保
医療用ベッド・機器による床構造の補強設計
3. 精神科・心療内科|人通りより「安心感」
🏥 適した立地
駅徒歩圏内の裏通りビル内
オフィス街周辺の静かな立地
視線が届きにくい2階以上のテナント
👥 想定患者層
働く世代・メンタルケアを求める層
学生・家庭を持つ女性
🔧 建築面の注意点(CM視点)
遮音性能(壁・建具)の確保
人目に触れにくい導線設計
4. 小児科・耳鼻科|「駅近+駐車場」が理想
🏥 適した立地
駅徒歩圏内+駐車場ありのビル or 医療モール
保育園・小学校近く
マンション密集地
👥 想定患者層
乳幼児とその保護者
🔧 建築面の注意点(CM視点)
ベビーカー対応の通路幅・EV設計
感染症対策のため待合室をゾーン分け
子ども向けの内装デザイン+衝突防止設計
5. 皮膚科・美容皮膚科|立地=ブランディング
🏥 適した立地
駅近の人通りが多い商業ビル
若者が集まるエリア(繁華街・大学周辺)
商業施設内(女性層が多い)
👥 想定患者層
20~40代の女性、美容志向の高い層
🔧 建築面の注意点(CM視点)
明るく清潔感ある受付・待合設計
医療脱毛・施術用個室は電源・換気要件を確認
高級感を演出する照明・素材選びも一部関与
6. 建築CM会社からのアドバイス
立地によって建物の法対応やコストも大きく変わります。たとえば:
駅前ビル内 → 既存建物の用途変更・消防設備対応が複雑
ロードサイド新築 → 土地造成から建築確認申請まで一括対応が必要
診療科の特性+地域のニーズ+法対応の可否を総合的に見るには、
開業初期からの建築CMの導入がコストと時間の削減に繋がります。
「診療科+立地+建築」の三位一体が開業成功のカギ
診療科によって「良い立地」は変わります。
さらに建物の構造や消防法対応も影響するため、設計と土地探しは並行して進めることが重要です。
開業の初期段階から建築確認・消防対応に強い専門家と連携することで、
最適な場所で、無駄のない開業計画を実現することができます。