サウナ併設ホテルの設計要件とコスト|“サウナ需要”を取り込む最新ホテル開発ガイド

サウナ需要の拡大でホテル開発が変わる

近年、日本国内では空前のサウナブームが続いています。
とくに**「ととのう」を体験できる本格サウナ**を求めるニーズが増え、
従来の大浴場付きホテルだけでなく、
「サウナ併設」を前提にしたホテル建設が全国で増加しています。

実際、地方のビジネスホテルでも
「サウナがあるから選ばれる」というケースが増え、
集客力・単価アップに直結する設備として注目されています。

しかし、サウナは“後付けすればよい設備”ではなく、
構造・水回り・換気・防火・安全性など
専門的な設計要件を満たさなければ成立しない高度な設備です。

本記事では、建設マネジメント(CM)の実務視点から、
サウナ併設ホテルの設計要件・必要設備・建設コストの目安・計画時の注意点をわかりやすく解説します。

1. サウナ併設ホテルが増えている理由

サウナ導入がホテルにとってメリットとなる理由は次の通り。

① 競争力と差別化につながる

近年のホテル市場は供給が増え、差別化が困難。
サウナは“体験価値”としてブランド化しやすい要素です。

② 宿泊単価を上げやすい

サウナ付客室・水風呂・外気浴スペースを設けることで
+1,000〜3,000円の単価アップが可能。

③ 施設単体で集客できる

「サウナ目的の宿泊」が増えており、
宿泊以外の外来利用収益にもつながる。

④ コンパクト規模でも導入しやすい

ビジネスホテルクラスの大浴場にも設置可能で、
土地の制約があっても計画しやすい。

サウナはホテル事業において
収益・ブランド・集客のすべてに寄与する投資効果の高い設備といえます。

2. サウナの種類とホテルに適した構成

サウナにはさまざまな種類がありますが、
ホテルで導入されやすいのは次の3つ。

① ドライサウナ(高温サウナ)
  • 温度:80〜100℃

  • 湿度:低い

  • 熱源:電気ヒーター・薪ストーブ

最も人気で導入率が高い。

② ロウリュサウナ(スチーム付加型)
  • 温度:70〜90℃

  • 湿度:高め

  • 水をかけて蒸気を発生

体験価値が高く、若年層の人気が急増。

③ ミスト・スチームサウナ
  • 温度:40〜60℃

  • 湿度:非常に高い

  • 中高齢層にも好まれる

ホテルの場合、ドライサウナ+水風呂+外気浴スペースの3点セットが最も効果的で、宿泊客の利用満足度が大幅に向上します。

3. サウナ併設ホテルの「設計要件」〜失敗しないためのポイント〜

サウナは“箱”を作れば動く設備ではありません。
建築・設備・防火・水回りが複雑に絡みます。
以下は必ず初期段階で検討すべきポイントです。

① 換気・排気能力

サウナは高温多湿のため、換気計画が最重要。

  • 強制換気(排気量の確保)

  • サウナ内の気流バランス

  • 湿気の滞留防止

  • 隣接空間への熱・湿気の漏れ対策

換気不良はカビ発生・ヒーター故障の原因になります。

② 防火性能と仕上げ材

サウナは高温になるため、内装材は以下が必須。

  • 木材はサウナ専用材(ヒノキ・スプルース等)

  • 不燃・準不燃材料との組み合わせ

  • 火災報知器の熱感知式設定

特に木造・CLTホテルの場合、防火計画は綿密な整理が必要。

③ 水回り(排水・防水)設計
  • 水風呂の給排水

  • 床全体の防水層

  • 排水ピット容量

  • 高耐久の防滑タイル

水漏れトラブルはホテルで最も多い重大事故の一つです。

④ サウナ出口〜水風呂〜外気浴の動線設計

サウナ→水風呂→外気浴
がスムーズに移動できることが満足度を大きく左右する。

特に外気浴(休憩スペース)は以下が重要:

  • 外気との温度差

  • 換気の良さ

  • 近隣住民への騒音対策

  • プライバシー確保

“サウナ動線”はホテルのブランドに直結します。

⑤ 給湯設備の容量と熱源

サウナ・大浴場では給湯使用量が大きいため、

  • 給湯器の容量

  • ボイラーの熱源(ガス/電気)

  • 同時給湯量

  • 省エネ対策(熱交換器など)

の調整が重要です。

4. サウナ併設ホテルの建設コストの目安

ホテル規模・サウナの種類・設備仕様により大きく異なりますが、一般的な目安は以下のとおり。

▼ サウナ本体工事

500〜1,200万円/1室
(ドライサウナ・ロウリュの場合)

▼ 水風呂・浴槽設備

200〜600万円

温度管理システムを入れると増額されます。

▼ 換気・空調設備

100〜300万円

ダクト経路の確保で追加工事が必要な場合あり。

▼ 外気浴スペース(屋外/屋内)

100〜300万円

デッキ・チェア・照明などの環境整備費用。

▼ 大浴場併設サウナ(男女別)

1,500〜3,500万円が一般的

ホテルの場合、大浴場とセットで計画する方が運用効率が良い傾向があります。

 

サウナ併設はホテルの“価値を引き上げる投資”

サウナ併設ホテルは、単なる付加設備ではなく
集客・単価・ブランドすべてに効果がある価値向上施策です。

✔ サウナ併設ホテルで押さえるべきポイント
  • 換気・防火・水回りが最重要

  • サウナ→水風呂→外気浴の動線設計が満足度を左右

  • 給湯容量・排水・設備負荷を早期に検討

  • コストは500万〜3,500万円が一般的

  • CM方式による初期段階の検証が成功の鍵

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