中低層ビルはなぜ人気?収益性と工期バランスで選ばれる5つの理由|3〜6階建てが現実的な選択肢であるワケ
「ちょうどいい規模」で注目される中低層ビル
都市部や再開発エリアだけでなく、郊外の駅前や幹線道路沿いでも、3〜6階建ての“中低層ビル”を建てる動きが加速しています。
大規模なハイグレードビルとは異なり、中低層ビルは事業規模と投資リスクのバランスが良く、コスト回収もしやすいという実利的な理由から、多くの企業・地主・医療法人などに選ばれています。
この記事では、中低層ビルが選ばれる主な理由とそのメリット、注意すべき点を、建設計画に役立つよう整理して解説します。
✅ 中低層ビルの定義とは?
一般に「中低層ビル」とは、地上3〜6階建て・延床面積500㎡〜2,000㎡前後の建築物を指します。
主に以下のような用途で計画されることが多いです:
テナント型オフィスビル(1フロア1社)
医療モール・歯科・整形外科ビル
店舗併用ビル(1F:飲食・物販、上層:事務所や住居)
自社オフィスビル(中小企業の本社社屋)
✅ 中低層ビルが人気な5つの理由
① 初期投資額が抑えやすく、融資のハードルも低い
大規模ビルに比べて建設費・諸経費ともにコンパクトで済み、
建築費の目安は以下の通り:
鉄骨造(S造):90〜110万円/坪
鉄筋コンクリート造(RC造):100〜130万円/坪
→ 延床1,000㎡程度なら約3〜4億円前後で建設可能。
銀行・信金からの融資も受けやすく、不動産投資としても実現可能性が高いのが特長です。
② 短い工期で収益化までの時間が早い
構造や仕様にもよりますが、中低層ビルの標準的な工期は約9〜14ヶ月。
工期が短い=早期にテナント収入を得られる or 自社移転が実現できるため、キャッシュフロー的にも有利です。
また、S造などのプレハブ部材を活用すればさらに数ヶ月短縮できることもあります。
③ 賃貸・自社利用・用途変更…使い道が豊富で柔軟性が高い
中低層ビルは以下のようなフレキシブルな活用がしやすいのも強みです:
上層階:自社利用、下層階:テナント貸し
一棟テナント貸し → 将来的にフロア分割して収益アップ
医療ビル → 将来は事務所や住居へのコンバージョンも視野に
長期にわたる用途の多様性があるため、出口戦略まで見据えた建築が可能です。
④ 建築法規・構造条件のハードルが比較的低い
7階建て以上になると、建築基準法上で「中高層建築物」扱いとなり、
非常用エレベーターの設置
屋上避難施設
構造耐火基準の強化
などの厳しい規制がかかります。
一方、中低層ビル(6階以下)では建築コストを上げる構造的制約が比較的少ないため、
設計の自由度・コストバランスの良さが確保できます。
⑤ 空室リスクを分散できる「ちょうどいい規模感」
1フロア=50〜100㎡程度で、小規模テナントが多数入居できる
医療・学習塾・士業・事務所など、地域ニーズに合う多様な業種を誘致しやすい
空室が1〜2区画出ても、全体収益に与える影響が小さい
このように、投資リスクを最小限に抑えながら安定収入を得るモデルとして人気です。
✅ 注意点|中途半端な設計にしないこと
中低層ビルは「ちょうどいい規模」ゆえに、「なんとなく建てたら中途半端になる」リスクもあります。
テナント区画が狭すぎて借り手がつかない
EVや共用部の設計が非効率で管理費が高い
用途地域の法規制で想定より容積率を使えない
こうした事態を避けるためにも、用途・収益計画・法規制を初期段階から整理し、構造選定・設備計画まで一貫して戦略設計することが重要です。
中低層ビルは“現実的かつ戦略的”な投資対象
高層ビルのようなブランド性はないものの、
**中低層ビルは「高収益・短期回収・多用途対応」**という点で、非常に優れた建築モデルです。
今後も地価高騰・建設コスト増が続くなかで、
事業性と実現性を両立させた中低層ビルは、
自社資産・テナント収益・地域インフラとして重要な役割を果たし続けるでしょう。


