建築確認申請の必要条件と不要となる境界線 ― 発注者が誤解しやすいポイントを建築基準法の構造から整理する ―

建築計画や改修計画を検討する中で、発注者から頻繁に寄せられるのが「この工事は建築確認申請が必要なのか、それとも不要なのか」という問いです。

特に、

  • 小規模な増築

  • 内装改修

  • 用途変更を伴う計画

では、「確認申請は不要だと思っていたが、実際には必要だった」というケースが少なくありません。
その一方で、確認申請が不要となる場合も法制度上は存在しますが、その境界線は直感的に判断できるものではなく、建築基準法の整理を正確に理解する必要があります。

本記事では、建築基準法に基づき、建築確認申請が必要となる条件と、不要とされる範囲の境界線を、実務視点で整理します。

建築確認申請の基本的な位置づけ

建築確認申請とは、建築基準法に基づき、建築物の計画が法令に適合しているかを事前に確認する制度です。対象となるのは、単なる「新築」だけではありません。

建築基準法では、

  • 新築

  • 増築

  • 改築

  • 移転

  • 大規模の修繕・模様替

  • 一定の用途変更

が、確認申請の対象となる「建築行為」として整理されています。つまり、建築確認申請は「建てるとき」だけでなく、「変えるとき」にも関係する制度です。

建築確認申請が必要となる代表的なケース

① 新築工事

新築については、原則としてすべての建築物が建築確認申請の対象となります。
規模や用途による例外はありません。

② 増築・改築・移転

増築や改築については、工事内容と建築物の条件によって確認申請が必要となるかが判断されます。

例えば、

  • 増築によって延床面積が増加する場合

  • 建築基準法の集団規定(用途地域・容積率・建ぺい率など)に影響が生じる場合

には、確認申請が必要となります。特に注意すべき点として、「増築面積が小さいから不要」といった単純な判断はできません。

③ 大規模の修繕・模様替

建築基準法では、主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の過半に及ぶ修繕や模様替は、規模にかかわらず確認申請の対象とされています。

内装工事のつもりであっても、構造に関わる工事内容であれば、確認申請が必要になる点は見落とされがちです。

④ 用途変更を伴う工事

用途変更については、建築基準法第87条に基づき整理されます。一定の用途変更については、建築確認申請が必要となる場合が明確に定められています。

特に、

  • 不特定多数が利用する用途への変更

  • 防火・避難規定の適用が変わる用途変更

では、建築確認申請が必要となる可能性が高くなります。

建築確認申請が不要とされる範囲の考え方

建築確認申請が不要となるケースは、「免除される」というよりも、建築基準法上の確認対象に該当しない行為として整理されます。

代表的なのは、

  • 建築物の構造・規模・用途に影響しない軽微な工事

  • 主要構造部に該当しない部分の修繕

  • 建築行為に該当しない設備更新

といったケースです。

ただし、これらは「確認申請が不要になり得る」という整理であり、工事内容によっては確認申請が必要になる境界に容易に踏み込みます。

発注者が誤解しやすい判断ポイント

実務で特に誤解されやすいのは、次の点です。

  • 工事金額が小さい=確認申請不要ではない

  • 内装工事=常に確認申請不要ではない

  • 既存建物だから規制が緩いわけではない

建築確認申請の要否は、金額や感覚ではなく、建築基準法上の「建築行為」に該当するかどうかで判断されます。

確認申請が不要でも法令対応が不要になるわけではない

確認申請が不要な工事であっても、

  • 建築基準法の単体規定

  • 消防法

  • バリアフリー法

  • 条例

などへの適合が不要になるわけではありません。特に用途変更やテナント入替を伴う工事では、確認申請が不要でも、消防協議や別法令対応が必要になるケースが多く存在します。

「不要かどうか」ではなく「該当するかどうか」で判断する

建築確認申請の要否は、「簡単そうだから不要」「小さい工事だから大丈夫」といった感覚で判断できるものではありません。

重要なのは、

  • その工事が建築基準法上の建築行為に該当するか

  • 構造・用途・規模に影響を与えるか

を、法制度に基づいて整理することです。

発注者にとっては、確認申請が必要かどうかを早期に整理することが、計画遅延や追加コストを防ぐ最も確実な方法といえます。

当社のCMサービスで、コストと品質を両立した建設を実現しませんか?
ご相談は無料。専門スタッフが最適なプランをご提案します。