【2025年版】用途変更で失敗しないために|商業施設リニューアル時の建築確認と法的チェックポイント
近年、テナントビル・オフィスビル・宿泊施設など、**既存建物を再活用する「コンバージョン(用途変更)」**が急増しています。
新築に比べてコスト削減や環境負荷低減(SDGs)につながる一方で、
建築主が最も注意すべきなのが「用途変更に伴う建築確認手続き」です。
確認申請を怠ると、違反建築物として是正命令や使用制限を受けるリスクもあります。
この記事では、建設マネジメント(CM)の専門家の視点から、
用途変更が必要になるケース・手続きの流れ・見落としがちな注意点を詳しく解説します。
■ 用途変更とは?
「用途変更」とは、建築基準法上の主要用途を別の用途に変更する行為を指します。
たとえば次のようなケースです。
| 変更前 | 変更後 | 備考 |
|---|---|---|
| 事務所 | 飲食店 | 換気量・防火区画が異なる |
| 倉庫 | 店舗 | 避難経路や内装制限の追加が必要 |
| 住宅 | ホテル | 構造・排煙設備などの要件強化 |
| 学校 | シェアオフィス | 断熱・バリアフリー改修が必要 |
用途が変わることで、防火・避難・衛生・構造基準が変わるため、
一定規模以上では建築確認申請が義務付けられます。
■ 建築確認申請が必要となる主な条件
① 特定用途への変更
建築基準法第87条により、以下の「特定用途」に変更する場合は、原則として確認申請が必要です。
ホテル・旅館
病院・診療所
飲食店・物販店舗
劇場・学校・集会場
事務所・共同住宅
② 用途変更部分の床面積が200㎡以上
200㎡以上の用途変更では申請が必須。
ただし、防火地域・準防火地域では200㎡未満でも確認が必要なケースがあり、
法改正により適用範囲が広がっているため、初期段階での専門家確認が不可欠です。
■ 用途変更の手続きフロー
用途変更には、設計・行政協議・書類申請など複数の工程があります。
ここでは、CM会社が実際に行う標準フローを紹介します。
1️⃣ 現況調査・図面確認
既存建物の確認済証・竣工図・構造図をもとに、
耐火区画・避難経路・構造安全性・設備容量などを調査します。
2️⃣ 法的適合性チェック
新用途で必要となる法規要件(換気量、採光、排煙、防火構造など)を設計者が整理。
必要に応じて構造補強・設備改修の可否を判断します。
3️⃣ 行政・確認検査機関との事前相談
用途変更の妥当性・確認申請の要否を相談。
早期の協議により、後の設計変更や手戻りを防止します。
4️⃣ 確認申請書類の作成・提出
設計図書・構造計算書・設備概要書などを添付し、
建築主→設計者→確認検査機関→自治体の流れで提出。
5️⃣ 確認済証の交付 → 工事着手 → 完了検査
完了検査後、検査済証の交付を受けて初めて新用途での使用が可能になります。
■ 用途変更で発生しやすいトラブルと注意点
1. 確認申請を行わずに工事を開始
→ 工事中断・是正命令・用途制限のリスク。
特にテナント改修や短期工期案件では、着工前の法的確認を忘れがちです。
2. 既存構造が新用途に不適合
→ 耐震性能・防火壁・排煙ダクトの不足などが判明し、
追加工事・設計変更・コスト増が発生。
3. 防火地域・用途地域制限を見落とす
→ 商業地域でも防火地域内では耐火建築物義務となり、
軽微な用途変更でも大規模改修が必要になる場合があります。
4. 消防法・風営法など他法令との調整不足
→ 飲食店・ホテル用途では、建築基準法に加え、
**消防法(防火設備・避難経路)や風営法(営業時間・用途区分)**の対応が必要です。
■ 用途変更は“設計行為”ではなく“建築行為”
既存建物を再活用する「用途変更」は、設計変更ではなく建築行為として扱われます。
つまり、新築と同等レベルの法的適合性・安全性の確保が求められます。
そのため、
現況調査の精度
法令確認の早期対応
行政協議のタイミング
が、プロジェクト成功のカギとなります。
建設マネジメント会社が関与することで、
「設計・法規・スケジュール・コスト」を一体管理し、
リスクを最小限に抑えた円滑な用途変更プロジェクトを実現できます。
法規遵守とリスクマネジメントが成功の鍵
| 観点 | 確認ポイント |
|---|---|
| 建築基準法 | 特定用途への変更/床面積200㎡以上 |
| 防火・構造 | 既存建物の性能確認・補強要否 |
| 他法令 | 消防法・風営法・バリアフリー法との整合性 |
| プロジェクト管理 | CM方式による一元マネジメント |
用途変更は「簡単な改修工事」と誤解されがちですが、
実際には法的・構造的リスクが多く、建替えに匹敵する慎重な計画が必要です。


