在宅医療と連携する有床診療所の可能性とは?地域包括ケア時代のキープレイヤーを読み解く
少子高齢化が進む日本において、「在宅医療」の需要は年々高まっています。通院が困難な高齢者や、最期をご自宅で迎えたいという希望を持つ方の増加により、医療は“病院中心”から“地域・家庭中心”へとシフトしつつあります。
その中で注目されているのが「有床診療所」です。外来・訪問診療・入院機能を兼ね備える有床診療所は、在宅医療と病床ケアの“中間地点”を担う存在として、地域医療体制における重要な役割を果たし始めています。
本記事では、在宅医療との連携という視点から、有床診療所が今後どのような可能性を持つのかを解説します。
✅ なぜ今、有床診療所が再注目されているのか?
かつて有床診療所は全国で約1万件存在しましたが、医療制度の変化や採算性の問題から減少傾向が続き、現在では6,000件以下にまで減少しています。
しかし2025年問題(団塊の世代がすべて後期高齢者になる年)を目前に控え、在宅医療・訪問看護・介護サービスなど地域包括ケアシステムの構築が急務となっている今、再び有床診療所の機能に期待が集まっています。
その理由は以下の3つに集約されます:
軽度入院を自院で完結できる(入退院の柔軟性)
在宅患者の急変時に“駆け込み場所”として機能する
外来・訪問・入院を一貫して担える連携のしやすさ
✅ 在宅医療と有床診療所の「理想的な関係」とは?
有床診療所が在宅医療と連携する場合、以下のような役割分担と連携体制が効果的です:
■ 外来・訪問・入院のトライアングル体制
外来で定期的な診察を行い、病状が安定している時は訪問診療へ切り替え
体調急変やレスパイト(介護者支援)目的の短期入院は院内で対応
必要時には看取りまで行うことも可能
■ 訪問看護ステーションとの連携
看護師の巡回体制と診療所側のバックアップ体制を整備
夜間・休日も電話相談や往診対応が可能な体制構築
■ 地域包括ケア会議・在宅支援診療所指定の取得
地域包括支援センターやケアマネージャーとの連携強化
在宅支援診療所の要件(複数医師・24時間対応など)を満たすことで地域連携の核に
✅ 患者・家族にとってのメリット
有床診療所と在宅医療の連携によって、患者や家族が得られる安心感は大きくなります。
「自宅で過ごす」ことを前提とした医療が提供される
急変時も**“いつもの先生”がいる場所に入院できる**
医師・看護師・リハビリ職・ケアマネが連携したチーム医療が可能
これは、患者本位の医療(パーソン・センタード・ケア)の観点からも非常に意義のある体制といえます。
✅ 建物・設備面の工夫も必要になる
在宅連携型の有床診療所を運営するためには、以下のような設計的配慮や設備投資も重要になります(※詳細なCM内容は本記事では省略):
院内に訪問診療用の車両出入口や物品搬出スペースを確保
ナースステーションからの動線を短縮した短期入院病床の設計
多職種カンファレンスが可能な共有スペースや会議室の設置
急患受入に備えた処置室・観察室の配置など
✅ 有床診療所の未来と制度の動向
厚生労働省は、地域医療構想の中で「急性期・回復期・慢性期・在宅」という医療の流れを明示しています。有床診療所は、これらの流れの中で回復期〜在宅移行のハブ的機能を果たす可能性があり、将来的には以下の制度的動きとも関連が深くなっていくと考えられます。
地域包括ケア病棟との役割分担
入院基本料・在宅支援診療所加算の見直し
高齢者施設や看取り拠点としての制度整備
「地域に根ざした医療」の実現に向けて
在宅医療と連携する有床診療所は、単なる「小さな病院」ではありません。むしろ、地域の特性や患者のライフスタイルに合わせた“柔軟であたたかい医療”を提供できる、これからの地域医療の要となる存在です。
地域の高齢化が進む今こそ、有床診療所の価値を再評価し、在宅医療と連携するモデルの普及が求められています。


