医療法人化と個人開業、診療所に向いているのはどっち?|メリット・デメリット徹底比較
診療所の開業を検討する際に多くの医師が直面するのが、
「個人事業主としての開業」か「医療法人としての開業」かという選択です。
どちらも一長一短があり、規模や将来ビジョン、経営方針によって適した形態は異なります。
この記事では、両者の違いや判断ポイントを分かりやすく解説します。
✅ そもそも医療法人とは?
医療法人とは、医療法に基づいて設立された法人格を持つ医療機関です。
複数の医師や職員で医療事業を行う場合や、将来的に分院を持つ可能性がある場合などに適しています。
一方、個人開業医は、開設者=経営者=代表医師という形で、診療報酬はすべて開設者に帰属します。
✅ 個人開業のメリット・デメリット
✔ メリット
開業手続きが比較的シンプル(保健所への届出・税務署登録のみ)
自由度の高い意思決定が可能(家族経営など)
法人化よりも設立・維持コストが低い
✘ デメリット
収入はすべて個人所得として課税(最大55%の所得税率)
医師が死亡・引退した場合、廃業扱い
従業員への福利厚生や退職金制度が整備しづらい
✅ 医療法人化のメリット・デメリット
✔ メリット
所得を法人税(約23%)と役員報酬に分割して節税が可能
医師本人が退任しても法人は継続(相続・承継がしやすい)
退職金や役員報酬など、資産形成の手段が多様
分院の開設・設備投資に有利(信用力が高い)
✘ デメリット
設立には都道府県知事の認可が必要(2〜3ヶ月の準備期間)
医療法人は医療行為しかできない(投資・副業は不可)
毎年、事業報告書・決算書などの提出義務あり(事務コスト増)
✅ 法人化が向いているケース
年間利益が1,500万円以上出ている、または出る見込みがある
今後、分院展開や他医師の雇用を考えている
医師本人の老後資金や退職金の準備を進めたい
家族への給与支払いを節税戦略として活用したい
不動産購入や設備投資で、金融機関の信用を得たい
✅ 個人開業が向いているケース
小規模で一人医師+スタッフ数名で運営する予定
開業初期で利益が不安定、まずはシンプルに始めたい
法人設立や報告業務などに煩雑さを感じる
「まずは試してみて、軌道に乗ったら法人化を検討したい」
✅ 法人化のタイミングはいつがベスト?
多くの医師が実践しているのは、
まず個人で開業 → 利益が安定した段階で法人化という流れです。
特に、年間所得が1,500〜2,000万円を超えると税負担が重くなるため、そのタイミングで法人化を検討するのが一般的です。
ただし、法人化には2〜3ヶ月の手続き期間が必要なため、早めの準備・相談がカギになります。
目指す医療と経営方針で判断を
個人開業と医療法人、どちらが「正解」ということはなく、
**「どんな医療を提供したいのか」「どんな経営をしていきたいのか」**によって判断が分かれます。
長期的な地域医療への貢献を考えるなら「法人」
自由度の高い運営と身軽なスタートを重視するなら「個人」
開業の初期段階で明確に決める必要はありませんが、将来を見据えた選択をしておくことで、安定した経営とライフプラン形成につながります。


