ABW(Activity Based Working)に対応したオフィス設計とは?|柔軟な働き方を実現する最新空間モデルを解説

“働き方の多様化”がオフィス設計を大きく変えている

リモートワーク・出社ハイブリッドが一般化したいま、
従来の「固定席中心のオフィス」では生産性が上がりにくくなり、
国内企業でも**ABW(Activity Based Working)**の導入が急速に進んでいます。

ABWとは、
「仕事内容に合わせて、働く場所を自由に選べる働き方」
を指す概念です。

単なるレイアウト変更ではなく、
オフィスの使い方そのものを変えるワークスタイルとして注目されています。

本記事では、建設マネジメント(CM)の専門視点から
ABW対応オフィスの設計ポイント・ゾーニング・設備計画・成功事例の傾向を分かりやすく解説します。

1. ABWとは?フリーアドレスとの違い

ABWはよく「フリーアドレス」と混同されますが、別の考え方です。

▼ フリーアドレス
  • 席を固定しない

  • どこに座ってもよい

  • 机の数を削減できる

👉 目的:効率化(席数削減)

▼ ABW
  • 仕事内容に応じて最適な場所で働く

  • 集中、共同作業、オンライン会議など“活動”を起点に空間を選択

  • 多様なエリアを用意する必要がある

👉 目的:生産性向上・創造性の強化

ABWは席を自由にするだけでなく、
オフィス全体の空間構成を最適化する考え方がポイントです。

2. ABW対応オフィスに必要な「5つの空間」

ABW導入には、以下のゾーンを組み合わせることが重要です。

① フォーカスエリア(集中スペース)

用途:一人での資料作成・思考作業
特徴:

  • 半個室ブース

  • 仕切りの高いデスク

  • 防音材を使った静音空間

ABWの中心となるゾーンで、
オンライン会議ブースも併設すると効率が上がります。

 
② コラボレーションエリア(会議・共同作業)

用途:打ち合わせ・ワークショップ・レビュー
特徴:

  • ホワイトボード

  • 可動式テーブル

  • 大型モニター

企画・開発系企業ではスペース比率を高める傾向があります。

 

③ ソロワークエリア(短時間利用の個別席)

用途:メール返信・簡易作業
特徴:

  • カウンターテーブル

  • ハイデスク

  • コーヒーブレイク兼用席

動きのあるワークプレイスとして取り入れられます。

 
④ リフレッシュ・カフェスペース

用途:軽作業・気分転換・非公式ミーティング
特徴:

  • コーヒーマシン

  • ラウンジソファ

  • カジュアルな家具

コミュニケーション促進効果が最も高いエリアです。

 
⑤ パーソナルワーク・Web会議ブース

ABW導入企業が必ず増やす空間。
オンライン会議の増加により、
遮音性能を備えた個室ブースが評価されます。

3. ABW設計における建築・設備の実務ポイント

CMの視点から見た「失敗しないための設計ポイント」を紹介します。

① 電源・コンセント配置

自由に席を移動するABWでは、
電源計画が最重要要素と言えます。

  • 床下コンセント(OAフロア)

  • 壁面・支柱型コンセント

  • USB給電ポート

  • 天井吊り下げ型電源

用途ごとに電源が必要な位置が異なるため、
ゾーンごとに綿密な計画が必要です。

 

② Wi-Fi環境とネットワーク計画

ABWではネットワークが途切れれば生産性はゼロになります。

  • AP(アクセスポイント)の最適配置

  • 帯域設計(Web会議増加に対応)

  • セキュリティ制御(フリーアドレスでも情報漏洩防止)

特に「Web会議ブース×高品質Wi-Fi」は重要。

 

③ 防音・吸音計画

コラボレーションエリアと集中エリアを近くに配置すると、
騒音問題が発生します。

必要な対策:

  • 天井吸音パネル

  • 床カーペット

  • パーティションの高さ

  • 個室会議室の遮音性能(D-30〜40)

“音環境の設計”はABWの満足度を大きく左右します。

 

④ 動線計画(ゾーニング)

ABWは“自由に見えて自由ではない”。
適切な動線設計が必要です。

  • 集中エリアは人通りを減らし静かな場所へ

  • リフレッシュは執務空間から一定距離を取る

  • Web会議ブースは複数配置し分散させる

  • 受付からの来客動線と社員動線を分離

ゾーニングの精度がABWの使いやすさを決めます。

4. ABW導入で得られる効果(実際の企業事例で顕著)

✔ 生産性向上(集中環境・オンライン会議の質)

✔ コミュニケーション活性化

✔ 席利用率の最適化

✔ ワーカーの心理的満足度UP

✔ 採用・ブランド価値の向上

特に若手人材の採用競争力に影響するため、
ABW導入は中小企業にも広がっています。

 

ABWは“オフィスの価値”を再構築する概念

ABWは一過性のトレンドではなく、
企業が長期的に働き方をデザインする上で欠かせない考え方です。

✔ ABWオフィスで押さえるポイント
  • 活動(Activity)に応じた空間をつくる

  • 集中・協働・オンライン会議の比率を把握

  • 電源・Wi-Fi・防音など設備計画が極めて重要

  • 動線・ゾーニングで使いやすさが決まる

  • CM方式で初期段階から総合的に検討することが成功の鍵

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