CM方式vsゼネコン一括発注|商業施設・ホテル・オフィスビルの発注者が知るべきコスト・リスク・判断基準

商業施設、ホテル、オフィスビル、自社ビル、複合施設の建設を検討する発注者にとって、「どの方式で発注するか」は、建設費、工期、品質、リスク管理に大きく影響する重要な判断です。

建設会社に一括して工事を依頼する方法は、窓口が分かりやすく、発注者の管理負担を抑えやすいというメリットがあります。一方で、見積の内訳や仕様の妥当性、専門工事会社の選定過程、変更時のコスト根拠が見えにくくなる場合もあります。

そこで選択肢の一つになるのが、CM方式です。CM方式とは、CMr(コンストラクションマネジャー)が発注者の側に立ち、設計、発注、施工の各段階で、工程管理、品質管理、コスト管理、発注方式の検討などを支援する方式です。国土交通省も、CM方式について、CMrが技術的な中立性を保ちながら発注者の補助者・代行者として各種マネジメント業務を行う方式と説明しています。

ただし、CM方式を採用すれば必ず建設費が下がるわけではありません。また、ゼネコン一括発注が常に不利というわけでもありません。重要なのは、プロジェクトの規模、複雑さ、発注者側の体制、コスト透明性への考え方、リスクの取り方に応じて、適切な発注方式を選ぶことです。

本記事では、商業施設・ホテル・オフィスビルの建設を検討する発注者向けに、CM方式とゼネコン一括発注の違い、それぞれのメリット・デメリット、コスト・リスク・判断基準を解説します。

 

発注方式の選択は建設プロジェクトの前提になる

商業施設、ホテル、オフィスビルの建設では、建物の用途や規模を決めることと同じくらい、発注方式の選択が重要です。

発注方式によって、発注者がどこまで判断に関与するのか、誰が設計内容を管理するのか、誰が専門工事会社を選ぶのか、見積の内訳をどこまで確認できるのか、変更や追加工事が発生したときに誰が調整するのかが変わります。

例えば、商業施設では、テナント構成、A工事・B工事・C工事の区分、飲食テナント対応、駐車場、サイン、搬入動線などを細かく調整する必要があります。ホテルでは、客室数、客室仕様、給湯、空調、FF&E、バックヤード、開業スケジュールが重要になります。オフィスビルでは、テナント誘致、自社利用、通信、セキュリティ、床荷重、将来のレイアウト変更を考慮する必要があります。

これらの条件を発注者側で整理しないまま工事会社へ依頼すると、後から仕様変更、追加費用、工期遅延、社内承認の遅れが発生しやすくなります。

発注方式は、単なる契約手続きではありません。発注者がどのように建設プロジェクトを管理し、どこまで主体的に判断するかを決める重要な経営判断です。

ゼネコン一括発注とは

ゼネコン一括発注とは、建築工事、設備工事、専門工事などを総合建設業者であるゼネコンにまとめて発注する方式です。

ここで注意したいのは、ゼネコン一括発注と設計施工一括方式は必ずしも同じではないという点です。設計者を別に選定したうえで、施工段階をゼネコンに一括発注する場合もあります。一方で、設計から施工までをゼネコンや建設会社に一括して依頼する設計施工一括方式もあります。

本記事では、発注者がゼネコンを主な契約窓口として建設工事を進める方式を、広い意味で「ゼネコン一括発注」として整理します。

ゼネコン一括発注の特徴は、発注者の窓口が分かりやすいことです。発注者はゼネコンと契約し、ゼネコンが専門工事会社や協力会社を取りまとめます。工程管理、施工管理、品質管理、安全管理、各工種間の調整は、基本的にゼネコンが主導します。

発注者にとっては、調整窓口が一本化されるため、建設に詳しい専任担当者が少ない場合でも進めやすいというメリットがあります。また、施工に関する責任の所在が比較的分かりやすい点も特徴です。

一方で、見積金額の内訳や専門工事会社への発注金額、ゼネコンの管理費・利益、仕様変更時の金額根拠が発注者から見えにくい場合があります。国土交通省のCM方式活用ガイドラインでも、従来の一括発注方式では、発注者がコスト内訳に関与しにくく、下請業者への支払について一般的に発注者へ報告されないことがあると整理されています。

CM方式とは

CM方式とは、CMrが発注者の補助者・代行者として、設計、発注、施工の各段階で、発注者側の立場からプロジェクトを管理する方式です。

国土交通省は、CM方式について、CMrが技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立ち、設計の検討、工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理などのマネジメント業務の全部または一部を行うものと説明しています。

CM方式で重要なのは、CMrが施工会社そのものではなく、発注者の判断を支援する立場にあることです。CMrは、発注者の目的を整理し、設計条件、発注範囲、見積内容、工程、品質、リスクを確認します。

ただし、CM方式は必ずしもすべての工事を分離発注する方式ではありません。プロジェクトによっては、分離発注と組み合わせる場合もあれば、ゼネコン一括発注や設計施工一括方式と併用し、発注者側の管理支援としてCMrを入れる場合もあります。

つまり、CM方式とは「発注者側のマネジメント機能を強化する方式」であり、必ずしも特定の契約形態だけを指すものではありません。

CM方式を採用すれば必ず安くなるわけではない

CM方式の説明で誤解されやすいのが、「CM方式にすれば建設費が安くなる」という考え方です。確かに、CM方式では見積範囲や仕様の内訳を整理し、専門工事ごとのコストを比較しやすくなるため、発注者がコストの妥当性を判断しやすくなります。過剰な仕様、不明確な別途費用、見積条件の違いを把握しやすくなる点は大きなメリットです。

しかし、CM方式そのものが建設費の削減を保証するわけではありません。CMrへの報酬も発生します。また、ピュアCM方式では、CMrは施工そのものの最終責任を負う立場ではなく、施工リスクや全体工事の完成に関するリスクを発注者が負う可能性があることも、国土交通省のガイドラインで示されています。

CM方式の本質は、単に安く発注することではありません。発注者がコストの中身を理解し、必要な品質を確保しながら、適切な発注判断を行えるようにすることです。

そのため、CM方式を検討する際は、「安くなるかどうか」だけでなく、「コストの透明性を高めたいのか」「発注者側で仕様を管理したいのか」「複数の関係者を整理する必要があるのか」「発注者側に判断支援が必要なのか」という視点で判断する必要があります。

ゼネコン一括発注のメリット

ゼネコン一括発注の大きなメリットは、発注者の窓口が一本化されることです。建設工事には、建築、電気、空調、給排水、消防、外構、内装、仮設、安全管理など、多くの工種が関わります。ゼネコン一括発注では、これらをゼネコンが取りまとめるため、発注者が専門工事会社ごとに直接調整する負担を抑えやすくなります。

また、工程管理や施工調整がしやすい点もメリットです。設計内容が固まり、建設条件が明確で、発注者側の要望変更が少ないプロジェクトでは、ゼネコンが施工全体を管理することで、比較的スムーズに進めやすくなります。

さらに、施工上の責任範囲が分かりやすいことも利点です。発注者にとって、工事中の品質、安全、工程について、主な相談先が明確であることは重要です。

建設経験が少ない発注者、社内に専任担当者を置きにくい発注者、建物用途が比較的シンプルなプロジェクトでは、ゼネコン一括発注が適している場合があります。

ゼネコン一括発注の注意点

一方で、ゼネコン一括発注には注意点もあります。第一に、コストの透明性です。発注者はゼネコンから総額見積を受け取りますが、その内訳がどこまで詳細に見えるかは、見積条件や契約内容によって異なります。専門工事ごとの金額や、仕様変更時の増減理由が分かりにくい場合、発注者は見積の妥当性を判断しにくくなります。

第二に、競争性の確保です。ゼネコンが協力会社や専門工事会社を選定するため、発注者が工種ごとに複数社比較を行うことは難しくなります。もちろん、ゼネコン側でも協力会社の選定や価格交渉は行われますが、その過程が発注者に十分開示されるとは限りません。

第三に、発注者の意図の反映です。設計施工一括方式の場合、設計と施工を一社が担うため、施工性やコスト面では合理的な提案を受けやすい一方、発注者の事業上の意図や将来運用の視点が十分に整理されないまま進むことがあります。

特に商業施設、ホテル、オフィスビルのように、テナント、運営会社、利用者動線、設備仕様、将来変更への対応が重要な建物では、発注者側で要求条件を明確にしておかなければ、完成後に使いにくさや運営上の問題が出る可能性があります。

CM方式のメリット

CM方式のメリットは、発注者側の判断材料を整理しやすいことです。CMrは、発注者の目的を踏まえて、設計条件、見積範囲、発注方式、スケジュール、品質、リスクを整理します。発注者が建築に詳しくない場合でも、専門的な情報を整理し、判断しやすい形にする役割を担います。

コスト面では、見積の内訳や前提条件を確認しやすくなります。建築工事、電気設備、空調設備、給排水設備、消防設備、外構、内装、テナント工事、FF&Eなどを分けて確認できれば、どの部分で費用が増えているのかを把握しやすくなります。

品質面では、発注者の求める仕様が設計や施工に反映されているかを確認しやすくなります。特にホテルの客室品質、商業施設のテナント対応、オフィスのセキュリティや通信環境など、開業後の使いやすさに関わる部分では、発注者側の視点が重要です。

工程面では、設計、見積、施工、テナント工事、開業準備、移転準備などを横断して整理できます。ホテルや商業施設では、建物の竣工だけでなく、開業日までの準備が重要です。CM方式では、建設工事だけでなく、開業に向けた全体スケジュールを確認しやすくなります。

CM方式の注意点

CM方式にも注意点があります。まず、発注者の関与が増えることです。CMrが発注者を支援するといっても、最終的な判断を行うのは発注者です。仕様をどうするか、どこに投資するか、どのリスクを取るか、どの発注方式を選ぶかは、発注者が決める必要があります。

次に、CMrの能力や経験によって成果が大きく変わることです。CM方式では、CMrが設計者、施工会社、専門工事会社、テナント、運営会社、行政などと調整するため、経験と実務力が重要です。CMrの選定を誤ると、期待したコスト管理や品質管理が十分に機能しない可能性があります。

また、CM費用が発生する点も確認が必要です。CM方式を採用する場合、CMrへの報酬が必要になります。建設費の透明性やリスク低減につながる可能性はありますが、プロジェクト規模や複雑さによっては、費用対効果を慎重に判断する必要があります。

さらに、分離発注を採用する場合は、発注者側の責任や調整負担が増える可能性があります。ピュアCM方式では、CMrが施工リスクを負うわけではないため、発注者がリスク分担を理解したうえで進めることが重要です。

商業施設で判断すべきポイント

商業施設では、テナント構成、動線、設備条件、内装区分が重要になります。物販中心の施設であれば、比較的シンプルな計画になる場合もあります。しかし、飲食テナント、クリニック、サービス店舗、フィットネス、ショールームなどを入れる場合は、給排水、換気、排気、ガス、電気容量、床荷重、搬入動線、ゴミ置き場、駐車場、サイン計画が複雑になります。

ゼネコン一括発注では、施工全体を一括して管理しやすい一方、テナントごとの細かな要求条件を発注者側で整理しておかないと、後から追加工事が発生する可能性があります。

CM方式では、テナント構成、A工事・B工事・C工事の区分、共用部と専有部の費用負担、将来のテナント入替を見据えた設備計画を整理しやすくなります。

商業施設では、単に建物を完成させることではなく、開業後にテナントが使いやすく、来館者が利用しやすい施設にすることが重要です。そのため、発注方式を選ぶ際には、テナント調整の多さと発注者側の管理体制を確認する必要があります。

ホテルで判断すべきポイント

ホテル建設では、客室、共用部、バックヤード、厨房、ランドリー、給湯、空調、FF&E、OSE、開業準備など、多くの要素が関係します。

ゼネコン一括発注は、建物本体工事をまとめて管理しやすいというメリットがあります。設計内容が明確で、ホテル運営会社やブランド基準が早期に固まっている場合は、スムーズに進めやすい方式です。

一方で、ホテルでは建物完成後すぐに営業できるわけではありません。家具、什器、備品、予約システム、スタッフ動線、清掃動線、消防検査、保健所対応、試泊、開業準備が必要です。建築工事と運営準備が分断されると、開業直前に調整不足が表面化することがあります。

CM方式では、建物本体工事だけでなく、運営会社の要望、FF&E、バックヤード、客室品質、開業スケジュールを発注者側で整理しやすくなります。特にホテルでは、建設費だけでなく、開業後の運営効率や客室単価に影響する仕様を確認することが重要です。

ホテル建設で発注方式を選ぶ際は、建設会社だけでなく、ホテル運営会社、設計者、設備設計者、FF&E業者との調整を誰が担うのかを明確にする必要があります。

オフィスビルで判断すべきポイント

オフィスビルでは、自社利用なのか、賃貸オフィスなのか、複数テナント型なのかによって、発注方式の判断が変わります。

自社ビルの場合は、働き方、会議室、セキュリティ、通信、サーバールーム、BCP、将来の増員、部署配置を整理する必要があります。賃貸オフィスの場合は、テナント誘致を見据えた区画割り、共用部、エントランス、設備容量、床荷重、空調、トイレ、駐車場、管理区分が重要になります。

ゼネコン一括発注では、建物としての完成度を確保しやすい一方、発注者が将来のテナント入替や運用条件を十分に整理しておかないと、完成後に使いにくいビルになる可能性があります。

CM方式では、発注者の事業計画や資産活用の視点を踏まえ、設計条件や見積内容を整理しやすくなります。将来、一部を賃貸に出す可能性がある場合や、用途変更・レイアウト変更を想定する場合は、初期段階から柔軟性を確認することが重要です。

オフィスビルでは、建設費だけでなく、入居率、賃料水準、維持管理費、設備更新費、テナント満足度を含めて判断する必要があります。

複合施設ではCM方式の効果が出やすい場合がある

商業施設、ホテル、オフィスが一体となった複合施設では、用途ごとの要求条件が異なるため、調整事項が多くなります。

商業施設は来館者動線とテナント設備、ホテルは宿泊者動線と静粛性、オフィスはセキュリティと業務効率を重視します。これらを一つの建物にまとめる場合、エントランス、エレベーター、搬入口、駐車場、設備系統、ゴミ置き場、防災センター、管理区分をどう分けるかが重要になります。

ゼネコン一括発注でも複合施設の建設は可能です。ただし、発注者側で用途ごとの優先順位や収益条件を整理していなければ、設計・施工段階で判断が遅れやすくなります。

CM方式では、用途ごとの要求条件を発注者側で整理し、設計者、施工会社、運営会社、テナント関係者との調整を見える化しやすくなります。特に、テナント未定、ホテル運営会社未定、将来用途変更の可能性がある計画では、初期段階の条件整理が重要です。

複合施設では、発注方式そのものよりも、発注者側で誰が全体を見て判断するかが重要です。その意味で、CM方式は発注者側の判断機能を補完する手段として有効な場合があります。

コストで比較する際の考え方

発注方式を選ぶ際、発注者が最も気にするのは建設費です。しかし、ゼネコン一括発注とCM方式を比較する場合、単純な見積総額だけで判断するのは危険です。

ゼネコン一括発注では、総額が分かりやすい一方で、内訳の透明性が限定される場合があります。CM方式では、内訳や発注範囲を細かく確認しやすい一方で、CM費用や発注者側の管理負担を考慮する必要があります。

また、安い見積が必ずよいとは限りません。必要な設備、外構、テナント対応、サイン、FF&E、開業準備費が含まれていなければ、後から追加費用が発生します。反対に、高い見積であっても、必要なリスクや将来対応が含まれている場合もあります。

発注者は、建設費を比較する際に、次の点を確認する必要があります。

  • 見積に含まれる範囲と含まれない範囲
  • 設計費、申請費、外構、解体、地盤改良の扱い
  • 設備仕様と将来増設への対応
  • テナント工事やホテルFF&Eの範囲
  • 変更工事が発生した場合の精算方法
  • 工期遅延や価格変動リスクの扱い
  • 維持管理費や修繕費への影響

発注方式を選ぶ際は、「初期建設費をいくらに抑えるか」だけでなく、「事業全体としてどのリスクを誰が負担するか」を確認することが重要です。

リスクで比較する際の考え方

建設プロジェクトには、設計変更、追加費用、工期遅延、品質不具合、テナント未定、資材価格変動、行政協議の遅れなど、さまざまなリスクがあります。

ゼネコン一括発注では、施工に関するリスクをゼネコンが一定範囲で負担するため、発注者にとって責任範囲が分かりやすいという利点があります。一方で、発注者の要望変更や前提条件の不足による追加費用は、発注者側の負担になる場合があります。

CM方式では、リスクを早期に見える化し、発注者が判断しやすい状態にすることができます。ただし、CMrがすべてのリスクを引き受けるわけではありません。特にピュアCM方式では、CMrは施工リスクを負わず、発注者の補助者・代行者としてマネジメント業務を行う立場です。

つまり、CM方式では、リスクがなくなるのではなく、リスクを発注者が把握しやすくなると考えるべきです。

発注者は、リスクを誰かに丸投げするのではなく、どのリスクを施工会社に負わせ、どのリスクを発注者が判断し、どのリスクを契約条件で整理するのかを明確にする必要があります。

どちらを選ぶべきか

ゼネコン一括発注とCM方式は、どちらが絶対に優れているというものではありません。プロジェクトの条件によって適した方式は変わります。

ゼネコン一括発注が適している場合は、建物用途が比較的シンプルで、仕様が明確であり、発注者側の調整事項が少ないケースです。社内に建設専任者が少なく、窓口を一本化したい場合にも向いています。また、設計内容が固まっており、施工管理を一括して任せたい場合にも選択肢になります。

CM方式が適している場合は、プロジェクトが複雑で、発注者側の判断事項が多いケースです。商業施設でテナント調整が多い、ホテルで運営会社やFF&Eとの調整が必要、オフィスビルで自社利用と賃貸を組み合わせる、複合施設で用途ごとの動線や設備を整理する必要がある場合には、CM方式が有効な場合があります。

また、建設費の内訳を把握したい、見積の妥当性を第三者的に確認したい、発注者側の立場で設計内容を管理したい場合も、CM方式を検討する価値があります。

一方で、CM方式を採用するには、発注者側も一定の判断に関与する必要があります。CMrに任せればすべて自動的に進むわけではありません。発注者が目的、優先順位、予算、リスク許容度を明確にすることが前提になります。

CMrを選ぶ際に確認すべきこと

CM方式を採用する場合、CMrの選定は非常に重要です。CMrの能力、経験、立場、報告体制によって、プロジェクトの進み方は大きく変わります。

発注者は、CMrを選ぶ際に、まず商業施設、ホテル、オフィスビル、複合施設など、類似用途の実績があるかを確認する必要があります。建設プロジェクトは用途によって注意点が異なるため、単に建築経験があるだけでは不十分な場合があります。

次に、発注者側の立場でマネジメントした経験があるかを確認します。施工会社側の経験があることは強みになる場合もありますが、CM業務では、発注者の利益をどう整理し、設計者や施工会社とどう調整するかが重要です。

また、コスト管理、見積査定、工程管理、品質確認、発注方式の提案、リスク管理、社内説明資料の作成など、どこまで対応できるかを確認します。CM契約の範囲が曖昧だと、後から「そこまでは業務外」となる可能性があります。

報酬体系も確認が必要です。定額制なのか、工事費に対する一定割合なのか、業務範囲ごとに分かれているのかによって、費用の見え方が変わります。報酬の安さだけで判断せず、業務範囲と成果物を確認することが重要です。

さらに、情報共有の方法も確認します。定例会議、議事録、コストレポート、工程表、リスク一覧、見積比較表など、発注者が判断しやすい資料を継続的に出せる体制があるかを確認する必要があります。

発注者が発注方式を決める前に整理すべきこと

発注方式を決める前に、発注者はまずプロジェクトの目的を整理する必要があります。商業施設として収益を上げたいのか、ホテルとして開業日を優先したいのか、オフィスビルとして長期資産価値を重視したいのかによって、発注方式の判断は変わります。

次に、発注者側の体制を確認します。社内に建設プロジェクトを担当できる人材がいるのか、意思決定者は誰か、設計や施工に関する判断をどこまで社内で行えるのかを整理します。

また、設計の進み具合を確認します。基本計画段階なのか、基本設計が固まっているのか、実施設計まで進んでいるのかによって、選べる発注方式は変わります。早い段階であればCMrを入れて条件整理から支援を受けることができますが、施工直前であれば見積査定やコスト管理が中心になる場合もあります。

さらに、コストの透明性をどこまで求めるのかを確認します。総額で任せたいのか、専門工事ごとの内訳を把握したいのか、仕様変更時の根拠を確認したいのかによって、適した方式は変わります。

最後に、リスクを誰が負担するのかを整理します。発注者がどこまで判断に関与し、施工会社にどこまで責任を負わせ、CMrにどこまで管理を依頼するのかを明確にすることが重要です。

CM方式とゼネコン一括発注は、どちらが常に優れているというものではありません。ゼネコン一括発注は、窓口が分かりやすく、施工管理を一社に任せやすいというメリットがあります。一方で、見積内訳や専門工事会社の選定過程、コストの妥当性が見えにくくなる場合があります。

CM方式は、発注者側の立場で設計、発注、施工の各段階を整理し、コスト、品質、工程、リスクを見える化しやすい方式です。ただし、CM方式を採用すれば必ず建設費が下がるわけではなく、CM費用や発注者側の判断責任も伴います。

商業施設、ホテル、オフィスビルのように、テナント、運営、設備、動線、開業準備、将来変更が関係する建物では、発注方式の選択がプロジェクト全体に大きく影響します。発注者は、建設費の総額だけでなく、見積範囲、コスト透明性、リスク分担、社内体制、将来運用まで含めて判断する必要があります。

コンストラクションマネジメントの視点では、発注方式を決める前の条件整理こそが重要です。自社のプロジェクトにゼネコン一括発注が合うのか、CM方式を活用すべきなのかを判断するためには、建物の目的、用途、規模、予算、スケジュール、リスクを早い段階で見える化することが求められます。

商業施設・ホテル・オフィスビルの建設で発注方式に迷っている場合は、計画初期の段階で第三者の視点を入れ、コスト・リスク・発注範囲を整理することが重要です。

【重要事項】

本記事は、CM方式、ゼネコン一括発注、設計施工一括方式、建設発注方式に関する一般的な考え方を整理したものです。実際の発注方式、契約形態、建設費、工期、品質、責任範囲、リスク分担、コスト削減効果、CMrの業務範囲等は、プロジェクトの規模、用途、発注者体制、契約条件、設計進捗、施工時期、市場環境により異なります。

また、CM方式は、発注者側の立場で設計・発注・施工段階のマネジメントを行う方式ですが、採用すれば必ず建設費が下がる、工期が短縮される、品質が向上することを保証するものではありません。ゼネコン一括発注にも、窓口の明確化、施工管理の一元化、責任範囲の分かりやすさといったメリットがあります。

実際に商業施設、ホテル、オフィスビル、自社ビル、複合施設、テナントビル等の建設・改修を検討する場合は、必ず設計者、施工会社、CM会社、弁護士、行政窓口、金融機関等に確認し、個別条件に応じた発注方式・契約方式を検討してください。

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